更年期の胃の不調

更年期の吐き気

40歳代から50歳代の後半までの女性で、以下のような症状に心当たりがある場合、更年期による影響がでている可能性があります。

更年期の吐き気の原因

更年期を迎えた女性が吐き気に悩まされるのは、女性ホルモンの分泌が全体的に低下することと、そのバランスが乱れてしまうことによります。平均50歳と言われる閉経時期に向かって、その5年ほど前から卵巣機能がだんだん低下していき、閉経に至って卵巣での女性ホルモンの分泌が止まり、月経も終了します。女性ホルモンにはエストロゲン（卵胞ホルモン）やプロゲステロン（黄体ホルモン）などがありますが、特にエストロゲンの減少が女性の心身に大きな影響を与えます。お肌の張りや潤いなどの美容的な影響もありますが、神経伝達物質の1つであるセロトニンの分泌にも影響を与え、それによって自律神経のバランスは大きく乱れてしまいます。

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は心身の活動性に働き、副交感神経は心身の緊張を緩めて休ませる方向に働きます。休息が必要な時には副交感神経が優位になるなど、この2つは必要な時に必要な方が優位となってバランスを保っていますが、そのバランスがうまく保てなくなった時、心身に大きな影響を与えることになります。特に胃腸などの消化管は平滑筋でできており、その活動は自律神経によって支えられています。更年期になるとエストロゲンの低下によって、必要な時でも副交感神経の働きが弱くなり、交感神経が働き過ぎて、吐き気や胃もたれなどの症状があらわれます。

更年期の下痢・便秘

40歳代から50歳代後半ぐらいの女性で、以下のような便通異常の症状が続く場合、更年期症状の可能性があります。一度医師に相談してみましょう。

更年期の下痢や便秘の原因

女性ホルモンのエストロゲンの減少は自律神経のバランスを乱し、消化管の蠕動運動を不調にします。また、プロゲステロンの減少は胃腸の運動を活発化させます。それによって下痢を生じることになります。さらに人生のイベントも多くなる時期に当たり、ストレスがかかったり食生活が乱れてしまったりすること、加齢によって腹筋が弱まってしまい便を出し切れなくなることなど、様々な理由から排便異常が起こりやすくなります。

更年期の胃もたれ・胸やけ

40～50歳代後半の女性が以下のような胃の症状に悩まされる状態が続く場合、更年期を迎えた徴候かもしれません。

更年期の胃もたれ・胸やけの原因

更年期の特徴として、女性ホルモンの分泌が揺らぎながら大きく低下していくと、エストロゲンの減少によって自律神経のバランスが乱れ交感神経優位となります。それによって胃の運動機能が低下します。そうなると、通常は2～3時間で消化が終わり十二指腸に送られる食物が長時間胃の中に滞留することになり、胃酸の分泌も過剰になってきます。そのため、胃もたれや胸やけなどの症状があらわれます。