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下剤を飲まない内視鏡検査

下剤について

サルプレップ大腸カメラ検査を行う時に、恥ずかしい、辛いというご意見の他に、事前処置の腸管洗浄剤を服用するのが、「味がなんともまずくて飲めない」「そもそも2Lの水分が飲めない」というご意見をお聞きすることも多くあります。少し前までは、事前の下剤は塩味の強いニフレックという薬が主流でしたので、その頃大腸カメラ検査を受けた方は、「下剤は不味い」という感想になってしまったかと思います。しかし、その後は梅味がするモビプレップという薬やスポーツドリンクのような味のするマグコロールPという薬など新たな味の下剤も登場しました。近年サルプレップという洗浄力の強いレモン味の薬が登場しました。この薬は、通常の水またはお茶と交互に飲むことができるのでより飲みやすくなりました。また、液体だけではなく錠剤タイプのビジクリアという下剤も登場し、こうした辛さは改善されてきています。しかし、便がきれいな透明になって、しばらくして便意が落ち着いてからも、「病院まで行くまでが心配」、「便意が落ち着くまで4時間ぐらいかかって疲れてしまう」というような辛さはどうしてもあるかと思います。そんな方に最適なのが下剤を飲まない大腸カメラ検査です。

下剤を飲まなくても受けられる
大腸カメラ検査のメリット

下剤の量や味による
「不快感がない」

下剤は、胃カメラ検査の最後に直接投与するため、大量の下剤を数時間かけて服用する辛さや、味の辛さがありません。

腸管がきれいになるまでの
「時間も短縮」

下剤を飲まない検査では、前半に胃カメラ検査を行い、その後に、スコープについている管を通して十二指腸に直接下剤を送り込みます。そのため、通常2~4時間かかる事前準備を1~2時間程度まで短縮でき、検査全体に要する時間を大幅に減らすことができます。これによって患者様の負担も軽減できます。

大腸カメラ検査の「ついでに胃カメラ検査も」受けられる

胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日中に行えますので、事前準備を何度も繰り返したり、検査に数日かけたりといった手間がありません。検査は全体で2時間程度ですので、お忙しい方に最適の方法です。

下剤を飲まなくても受けられる
大腸カメラ検査の方法

下剤の種類が増えて味は飲みやすく改善されてきていますが、やはり辛いという方には下剤を飲まずに、大腸カメラ検査を受けることが可能です。なお、以下で説明する2つの方法のうち、当院では、基本的に「内視鏡的下剤注入法」を行っています。


内視鏡的下剤注入法

先に胃カメラ検査を行い、十二指腸の奥へ腸管洗浄剤(下剤)を注入します。鎮静剤を使った胃カメラ検査では、寝ている間に下剤の注入を行います。鎮静剤の効果が切れた頃に胃カメラ検査は終了しており、大腸カメラ検査の準備に移ります。下剤の効果が出始めるため、トイレに通っていただきながら、便がきれいになるのを確認できたら大腸カメラ検査を実施します。

メリット

大量の下剤を飲む必要や、下剤の味を気にすることも無く、下剤を使用できます。また、十二指腸に直接下剤を注入するため、腸がきれいになるまでの時間も短くてすみます。それによってトイレの回数が減り、肛門への負担も軽減できます。

デメリット

胃カメラ検査が必須となります。そのため、食道や胃、十二指腸に症状の無い方は健康保険が適用されず自由診療となってしまいます。また、排便状況によっては追加で下剤を服用していただくこともあります。
※内視鏡的下剤注入法に対して、特別な予約料金等は必要ありません。

下剤を飲まなくても受けられる大腸カメラ検査の注意点

下剤を飲用する方法では、ゆっくりと下剤が身体に入っていきますので、あまり腸に負担はかかりませんが、内視鏡的下剤注入法では、大量の下剤が一度で注入されることになります。そのため、腸に負担がかかってしまいます。通常はそれでも大丈夫ですが、何らかの要因で腸管が弱っていると、最悪の場合には腸管破裂を起こしてしまうこともあります。そのため、検査の前にこの方法で実施できるかどうか診察し、医師の判断によってこの方法を使うことをお断りする場合もありますので、あらかじめご承知おきください。

※同日内視鏡検査を受診される場合、上部消化管の症状があらわれていないケースや、下部消化管の症状があらわれていないケースなど状況次第でどちらか、もしくは両方の検査に健康保険が適用できないことがあります。
※70歳以上の方はお身体の負担を考慮して、内視鏡的下剤注入法はお断りしています。
※事前の診察で腸管が弱っているような症状が見受けられると医師が判断した場合には、内視鏡的下剤注入法をご遠慮いただくことがあります。

鼻チューブ法

鼻から細いチューブを胃まで通し、下剤をゆっくりと直接胃に注入します。便がきれいになったら大腸カメラ検査を行います。
※なお、当院では鼻チューブ法を実施しておりませんので、あらかじめご承知おきください。

メリット

飲用いただくより効率的に腸内の洗浄ができますが、内視鏡的下剤注入法と異なり、胃カメラ検査を受ける必要がありません。そのため胃に症状が無い場合は、費用も安価になります。

デメリット

鼻にチューブを入れますので、違和感や鼻の奥にツーンとするような軽い刺激、軽い吐き気などを感じる場合があります。経管チューブは使い捨てのものですので、別途材料費がかかります。

下剤を飲まなくても受けられる
大腸カメラ検査の流れ

※内視鏡的下剤注入法の場合

1事前の診察

下剤を飲まなくても受けられる大腸カメラ検査をご希望の方は、事前準備が必要なため、事前にご来院の上ご相談ください。現在お悩みの症状や既往症、服用中の薬などを詳しくお聞きした上で、実施できると判断した場合は、検査の日程を決め、検査に必要な準備もお伝えいたします。
※症状が無い方は自費診療となります。

2検査の前日

検査の前日は、朝・昼・夕の3食とも、消化の良いもの(よく煮たうどんや白粥など)を摂るようにしてください。夕食は21時までに済ませていただき、飲酒はお控えください。水分は透明なお水やお茶などをお飲みください。お渡しした下剤(錠剤)を指示通り服用してください。医師から特に休薬を指示されなかった場合は、通常通りお薬を服用してください。

3検査当日のご来院前

飲食

検査当日の朝は食事を摂らないでください。検査の1時間前まででしたら、お水、お茶など透明な飲み物で適宜水分補給することは可能です。炭酸飲料やジュース、牛乳などはお控えください。お薬は、事前診察で医師から休薬を指示されなかったものについては、通常通り服用してください。

持ち物・服装

保険証(マイナンバーカードも使用できます)、各種医療証や、検査費用をご持参の上、ご来院ください。当院にお越しいただいたら、検査着に着替えていただきますので、着替えがしやすい服装でお越しください。

当院までの行きと帰り

鎮静剤を使用する場合は、当日の自動車、バイク、自転車などの運転は禁止となります。家族の方に送迎していただくか、公共交通機関をご利用ください。

4ご来院

ご予約の15分前までにはご来院の上、受付を済ませてください。スタッフが更衣室にご案内しますので、検査着にお着替えください。お荷物は鍵付きのロッカーにお入れください。

5検査

時間が来ましたら検査室に入っていただき、診察台に横になっていただきます。
基本的には鎮静剤を使用し、鎮痛剤は検査の直前に投与します。準備が整いましたら、「胃カメラ検査」から開始し、胃カメラ検査が済んだところでスコープのチューブから十二指腸へ下剤(腸管洗浄剤)を注入します。検査開始時から30分~1時間程度経過すると、鎮静剤の効果が消えて目が覚めます。ちょうどその頃から便意が始まり、1~2時間後には腸がきれいになります。お通じの状態が問題なければ「大腸カメラ検査」を始めます。

6検査終了後

再度、完全に目が覚めるまで30分~1時間程度リカバリールームにてお休みいただきます。その後、検査画像をご覧いただきながら、検査結果について説明いたします。検査後の注意点などについては、その際に説明いたします。
説明が済んだら会計を済ませていただき、ご帰宅となります。
※病理検査があった場合(組織を採取した場合)は、結果が出るまで2週間程度かかり、再度ご来院いただく必要があります。