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大腸カメラでわかる病気

大腸憩室症

大腸憩室症大腸憩室とは、大腸の粘膜が腸内の圧力などによって腸壁のすき間に押し出されるように入り込み、外側に小さな袋状のふくらみができた状態を指します。内視鏡で観察すると、粘膜に小さな穴が空いているように見えるのが特徴です。この大腸憩室は比較的一般的なもので、約4人に1人の割合で見つかりますが、ほとんどの場合は症状がなく、治療の必要もありません。しかし、憩室の内部で炎症が起こる「大腸憩室炎」や、薄くなった部分から出血を起こす「大腸憩室出血などの合併症がある場合は、治療が必要になります。憩室炎のみであれば、抗生物質による治療が中心で、外来での通院治療が可能です。

大腸ポリープ

大腸ポリープポリープとは、皮膚や粘膜の表面にできる小さな盛り上がったできものの総称です。そのうち、大腸の内側(粘膜)にできるものを「大腸ポリープ」と呼びます。大腸にできるポリープには腫瘍性と非腫瘍性のものがあり、腫瘍性の腺腫が8割、その他非腫瘍性の過形成ポリープや過誤腫性ポリープなどが残り2割となっています。このうち問題となるのは、腫瘍性の「腺腫」で、腺腫はゆっくり時間をかけて大きくなり、一定確率でがん化することがわかっているため、前がん病変と言われています。がん化の確率はポリープの大きさと関わりがあり、5mmを超えると7%、10mmを超えると25%、20mmを超えると35%にがん細胞を認めるとされており、通常5mmを超えたものは内視鏡下で切除します。ただし5mm以下の小さなものでも頭部がへこんだ表面陥凹型と言われるものはがん化の確率が高く、発見した場合は切除する必要があります。

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大腸がん

大腸がんは、粘膜から発症するものもありますが、ほとんどの場合、腫瘍性ポリープの「腺腫」ががん化して発症するものです。早期に発見して治療を開始すれば、内視鏡による切除だけで完治できるのですが、早期にはほとんど自覚症状がありません。放置してしまい進行すると便秘、便秘と下痢の繰り返し、便が細くなるなどの便通異常、腹痛や腹部膨満感、出血とそれによる貧血といった症状が現れてきます。また、リンパ節や近隣の臓器への浸潤、転移なども起こり、治療が難しくなります。また、前がん病変の腺腫ポリープも大腸カメラ検査でしか確実に見つけることができません。そのため、定期的な大腸カメラ検査が重要な病気となります。

潰瘍性大腸炎

大腸に原因不明の炎症が続き、下痢、腹痛、発熱などの症状が現れ、だんだんと炎症によって腸粘膜が傷つき潰瘍を起こしてしまう病気で、炎症性腸疾患の1つに数えられています。20代を中心に比較的若い世代に発症しやすいのですが、小児や高齢者でも発症することがあります。症状の激しい「活動期」と症状が出ない「寛解期」を繰り返す型が一般的ですが、いくつかのタイプにわけられます。一般的に炎症は大腸だけに留まり、直腸から炎症が始まり、だんだん小腸側に向かって進行していくことが特徴です。はっきりとした原因は究明されていませんが、自己免疫が腸粘膜を攻撃してしまうことによるのではないかと考えられており、国の難病に指定されています。大腸カメラ検査を行うと、特徴的な病変が観察され、確定診断が可能です。

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クローン病

潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病は小腸から大腸を中心に「口から肛門までの消化管のどこにでも炎症がランダムに起こる」ことが特徴です。クローン病も比較的若い10~20歳代に多く、また男女比では男性が2倍ぐらい多い病気です。軽症のうちは、便秘や下痢、腹痛などが主な症状ですが、重症になってくると炎症が深く進行し、消化管に潰瘍を起こし、血便、粘血便、貧血などを起こします。潰瘍は一般的に潰瘍性大腸炎より深く進行することで、栄養吸収が不良になるため経管栄養となることもあります。また、眼、皮膚、肛門など消化管外での炎症も起こり、痔ろうで診察を受けて発見されるケースもあります。潰瘍性大腸炎とともに、自己免疫性の疾患とされ、原因不明で治療法も確立していないため国の難病に指定されています。胃カメラ検査や大腸カメラ検査で確定診断が可能なケースが多いのですが、時に小腸の検査も必要となる場合があります。その場合は小腸内視鏡検査の施設がある高度医療機関を紹介して、検査を受けていただくことになります。

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感染性腸炎

感染性腸炎細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体に感染し腸内で繁殖して炎症を起こしたものです。腹痛、下痢などの他、発熱などの全身症状が見られる場合もあります。夏場はO-157などの病原性大腸菌、サルモネラ菌などの細菌感染が多く、冬塲はノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス感染が多いことが特徴です。治療は対症療法で症状が治まるのを待つことが一般的ですが、高齢者や小児の場合、重症化することがありますので、早めに当院までご相談ください。

虚血性腸炎

虚血性大腸炎は、大腸への血流が何らかの原因で急に途絶えることによって、大腸の粘膜に炎症が起こる病気です。典型的な経過としては、突然の激しい腹痛から始まり、その後に下痢や血便を伴うことが多くあります。特に、高齢の方や、慢性的な便秘のある方が排便時に強くいきむことが引き金になるとされています。場合によっては、出血量が多く、便器が真っ赤になり救急受診されるケースもありますが、多くの場合は、食事を摂らずに点滴をして腸を安静にすることで回復していきます。稀に、腸の組織が壊死してしまうような重症例もあり、注意が必要です。

過敏性腸症候群(IBS)

便秘が続く、下痢が続く、便秘と下痢を繰り返す、お腹が異常に張ったりガスが溜まったりといった不快な症状が続いているにもかかわらず、大腸カメラ検査では腸管に器質的な病変が見当たらない場合、「過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome:IBS)」が疑われます。近年、大幅に増えており、従来は若い世代に多かったのですが、中高年でも発症が増えてきており、今や人口の1~2割は過敏性腸症候群に罹っているといわれるほどポピュラーな病気です。機能性ディスペプシアとセットで消化管の運動機能や知覚機能の障害による病気と考えられています。診断は問診だけでも可能な場合がありますが、基本的には内視鏡検査によって器質的障害の存在を否定していく必要があります。

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