PMSで吐き気が出る原因
そもそもPMSとは
PMSは英語の(Pre Menstrual Syndrome)の略語で、日本語では月経前症候群と呼ばれています。月経の始まる3~10日前から心身の不快な症状があらわれ、月経が始まるとその症状がすっかり消えてしまう状態です。原因としては、排卵日から月経開始までの女性ホルモン分泌の大きな変化に加えて、心理的ストレスなどが関係していると考えられていますが、まだはっきりとは解明されていません。
生理前に吐き気がする原因
プロゲステロン
(黄体ホルモン)の分泌
排卵日から月経前にかけての黄体期にはプロゲステロンの分泌が増加します。プロゲステロンは「胃腸の運動を抑える」働きがあり、食物の消化が停滞することなどから吐き気や腹部膨満感、便秘などの症状があらわれることになります。また、プロゲステロンの分泌増加により、「腸の壁に水分が溜まりやすくなる」ことで、腸の働きが鈍くなり、吐き気が生じることがあります。
妊娠している可能性
吐き気などの胃腸症状があらわれており、月経開始が予定日より遅れている場合、妊娠初期のつわりの可能性が考えられます。悪阻が始まる時期には個人差がありますが、妊娠4~5週目(月経の予定日から1週間後まで)に始まる方もいます。妊活中など心当たりのある方は、市販の妊娠検査キットを使って確認してみましょう。また、妊娠していない場合、月経開始予定日に基礎体温は下がりますが、妊娠が成立している場合は基礎体温が下がることはありません。
吐き気が出ているときの対処法
PMSが原因となって、吐き気などの胃腸症状が出ている場合、それぞれの症状に対する対症療法だけでは解決にならない可能性があります。たとえば吐き気止めの薬を服用しても、薬が切れると該当期間であれば吐き気が戻ってきてしまいます。そのため、PMS自体の治療法として、低用量ピルや漢方薬の服用を試してみることをおすすめします。当院では患者様一人ひとりの症状に合わせた漢方薬の治療にも対応しておりますので、ご相談ください。
生理が始まってからも
吐き気が続く場合
月経開始前だけではなく、開始後も吐き気などの胃腸症状が続く場合、消化器などの内臓の病気、耳鼻科や眼科領域の病気、口腔外科領域の病気、強い緊張やストレスなど心因的問題、生活習慣の乱れといった様々な原因による吐き気かもしれません。吐き気があらわれる病気としては以下のような例が考えられますので、一度当院までご相談ください。
吐き気・嘔吐の原因となる
主な疾患
- 便秘
- 逆流性食道炎
- 胃腸炎
- 機能性ディスペプシア
- 虫垂炎
- 高血糖
- 急性心筋梗塞
- 脳腫瘍
- めまい症(良性発作性頭位めまい症、メニエール病)
など
吐き気のあるときの検査
緊急性が高い場合
重篤な病気の可能性が高い場合、まずは緊急措置を行った上で、さらに精密な検査や、循環器、脳神経など他の科の検査が必要と判断した場合には、連携する高度医療機関を紹介して速やかに治療ができるようにしております。
- くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍、腸閉塞、胆のう炎、胆石症などが疑われる場合
- 嘔吐で十分な水分摂取ができておらず脱水症状が深刻な場合
- 緑内障発作
など
それ以外の場合
まずは、問診でいつ頃からどのような程度の吐き気が続いているのか、既往歴、服薬中のお薬などを丁寧にお聞きし、触診などを行った後、適切な検査をします。食道や胃、十二指腸の病気が疑われる場合は「胃カメラ検査」、大腸の病気が疑われる場合は「大腸カメラ検査」を行います。また、その他の消化器、婦人科疾患などが疑われる場合は「腹部超音波検査」を行うこともあります。また、感染の有無や各種臓器の状態、貧血の有無などを確認するために血液検査も行います。
吐き気のあるときの治療
検査の結果、原因となる病気が明らかな場合は、それぞれの病気に対する適切な治療をしていきます。特別な病気が見当たらず、ストレスや女性特有の問題などによって吐き気が起こっている場合は、生活指導などを丁寧に行い、投薬が必要な場合は、漢方薬なども含め、適切な処方を行います。
当院では、日本消化器病学会専門医、日本内視鏡学会専門医、日本内科学会総合内科専門医の資格を持つ女性医師が、女性特有の消化器の症状にも親身になって対応しております。何かお困りのことがありましたら、遠慮なくご相談ください。また、専門以外の病気の可能性がある場合には、当院と連携する医療機関を紹介しております。