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胃カメラでわかる病気

逆流性食道炎

逆流性食道炎胃は、胃粘液が胃酸と混ざって胃酸の働きを中和する効果があるため、胃酸で溶けてしまうことはありませんが、食道は胃酸から粘膜を守る仕組みがないため、炎症を起こしやすくなります。通常は胃の入り口の部分を下部食道括約筋がしっかりと締め付けて胃の内容物が食道へ逆流しないようになっており、食べ物が入る時に多少逆流しても食道の蠕動運動で胃に戻る仕組みになっています。この仕組みが何らかの原因で障害されると、胃の内容物が食道に逆流し、粘膜に炎症が続き、胸やけ、ゲップや呑酸(すっぱいゲップ)、のどの違和感といった症状が続くようになります。これが逆流性食道炎で、胃カメラ検査によって診断ができます。同様の自覚症状が続いて検査をしても食道の炎症が見られない「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」という病気もあります。

ピロリ菌感染

ピロリ菌感染ピロリ菌は不衛生な水源などに常在する細菌で、通常は生物が生息することのできない胃に棲みついてしまいます。ピロリ菌の作り出すアンモニアなどによって胃粘膜が傷つけられ、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因となります。日本では水道の衛生環境は整ってきており、ピロリ菌感染者は減少傾向にあります。感染検査は胃カメラ検査の際にサンプルを採取する方法や、血液検査、検便検査などの様々な方法がありますが、健康保険適用で検査を受けるためには、胃カメラ検査を受け、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの確定診断が必須となっています。

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胃潰瘍

胃粘膜がなんらかの理由で深く傷ついた状態が胃潰瘍です。食後しばらくすると、胃痛やみぞおちあたりに痛みが生じることが多く、その他、吐き気や嘔吐、ゲップ、胸やけといった症状もあらわれます。胃潰瘍の原因はピロリ菌感染によるものが多く、ピロリ菌がいないかどうか確認し、必要に応じて除菌治療を行います。その他の原因としては、ストレスや鎮痛剤の使用、タバコやコーヒー、香辛料などがあります。

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十二指腸潰瘍

十二指腸に炎症が起こり、深く傷つくと十二指腸潰瘍となります。十二指腸の腸壁は胃壁より薄く、腸穿孔(穴が開く)などが起こりやすいため、早めの治療が必要です。症状は空腹時の胃痛、胸やけ、吐き気、嘔吐などで、出血も起こりやすいので貧血になることもあります。20~40歳代と比較的若い世代に多い病気です。十二指腸潰瘍の原因もピロリ菌感染がほとんどで、まずはピロリ菌がいないかどうか確認し、必要に応じて除菌治療を行います。その他の原因としては、ストレスや鎮痛剤の使用、タバコやコーヒー、香辛料などがあります。

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胃炎

胃炎には急性のものと慢性のものがあります。急性胃炎は胃痛(みぞおちの痛み)、吐き気や嘔吐、胸やけといった症状が生じます。原因はストレス、お酒の飲み過ぎ、感染症、NSAIDsなどの薬剤性のもので、胃薬を数日服用することで自然に治まっていきます。
一方、慢性胃炎は胃の炎症が慢性的に続いている状態で、一般的な症状は腹部膨満感、胃の鈍痛、胃もたれなどですが、自覚症状が無い場合も多く、気づかないうちに進行して、胃粘膜が変質してしまい、がん化のリスク高まることもあります。近年問題となっている胃の出口あたりに鳥肌状の変化を認める鳥肌胃炎は、女性に多く、特にがん化のリスクが高いと考えられており注意が必要です。慢性胃炎とピロリ菌感染の関連性も高く、まずはピロリ菌がいないかどうか確認し、必要に応じて除菌治療を行います。

胃がん

胃がんの原因のほとんどは「ピロリ菌感染によるもの」とされています。早期のうちに発見すれば、治療法も確立していて比較的簡単な治療で完治できるのですが、早期にはほとんど自覚症状が無く、また症状があらわれても、胸やけ、胃痛、食欲が無いといった一般的な症状であるため、がんだと気づきにくい病気です。進行すると、がん組織の出血により、貧血や吐血、下血といった症状があらわれ、治療も大がかりな手術などが必要となります。そのため、定期的な胃カメラ検査が非常に重要で、ピロリ菌除菌も必須となっています。ピロリ菌以外の原因では暴飲暴食や食事の偏り(特に塩分過剰)、喫煙習慣などがありますので、日常生活の改善も予防のために大切です。

食道がん

食道がんは、喫煙や飲酒歴の長い方に発症することの多いがんで、特にお酒を飲んで顔が赤くなる方はアルコールの分解酵素が無く、食道近辺の血管からアセトアルデヒド(アルコールが分解された毒性のある物質)の影響を受けやすく、食道がんを発症しやすいと考えられています。初期には症状がほとんど無く、症状があらわれても胸やけ、のどのつかえ、咳、体重減少といった、食道炎の症状と似たものになります。進行すると、がんが周囲の組織や臓器に広がりやすいため、定期的な胃カメラ検査が大切です。

十二指腸がん

十二指腸は小腸の入り口にあり、胃で溶かされた食物に胆汁や膵液を混ぜて消化しやすくして、空腸(小腸の一部)へ送る働きをしています。十二指腸がんは、消化管のがんでは稀で、未だに解明されていないことの多いがんの1つです。一般的には十二指腸にできるポリープの一種である「腺腫」から、時間をかけてがん化していくのではないかと考えられています。また、「家族性大腸腺腫症」という遺伝性の病気の方は十二指腸がんを発症しやすいことがわかっています。早期には、ほとんど無症状で進行し、食べ物の通り道を塞ぐようになると、腹部膨満感、腹痛、吐き気・嘔吐などの症状があらわれてきます。十二指腸がんは、比較的深い部分に発症しやすいため、当院では胃カメラ検査時に十二指腸の奥までしっかりと観察し、異常をみつけた場合、組織を採取して検査を行っています。

胃ポリープ

胃にできるポリープは、大きく胃底腺ポリープ、胃過形成ポリープ、胃腺腫の3つにわけられます。いずれのポリープも、ほとんど自覚症状はありませんので、定期的に胃カメラ検査を受けることが大切です。胃底腺とは、胃の粘液を分泌する胃粘膜状の組織で、ここにできるポリープが「胃底腺ポリープ」です。女性に多いことが特徴で、ピロリ菌感染の無い方に多く見られます。胃底腺ポリープはがん化することは非常に稀です。「胃過形成ポリープ」は、炎症性のポリープで、ピロリ菌感染者に多く見られます。ピロリ菌除菌に成功すると、このポリープは小さくなったり、なくなったりすることが知られており、ピロリ菌感染検査と除菌治療が有効です。胃過形成ポリープもがん化することは非常に稀です。「胃腺腫」は、高齢者、特に男性に多いポリープです。大きくなるとがん化のリスクが高くなるため、切除することが有効です。

胃アニサキス

胃アニサキスアニサキスは、主に海の魚介類に寄生する寄生虫の一種です。成虫はクジラやイルカなどの海洋哺乳類の体内に寄生し、そこから排出された糞に含まれる卵がオキアミに取り込まれることで、幼虫(第1段階)へと成長します。そのオキアミを食べたサバなどの魚介類には、感染力を持つ「第3幼虫」が寄生することになります。
このような魚介類を生で食べたり、加熱が不十分な状態で食べたりすることによって、人にアニサキスが感染します。体内に入ったアニサキスは、胃や腸の壁に潜り込もうとするため、激しい胃痛や吐き気・嘔吐などの症状があらわれることがあります。これは、アニサキスそのものが直接悪さをするというよりも、体が異物に対して反応し、アレルギーの一種である「好酸球」という白血球が増えることで起こる症状です。症状は、アニサキスが含まれる食べ物を食べてから6〜9時間ほどで出ることが多く、体内に入ったアニサキスは基本的に1週間未満で自然に死滅し、症状もおさまります。
ただし、ごくまれに腸の壁に深く入り込み、好酸球肉芽腫(こうさんきゅうにくげしゅ)というしこりを作って、腸閉塞や穿孔(穴が開くこと)を引き起こす可能性もあるため、症状が続く場合は早めにご相談ください。
なお、アニサキスは60℃以上で1分以上加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍することで死滅します。安全に食べるためには、きちんと加熱または冷凍処理された魚介類を選びましょう。

機能性ディスペプシア(FD)

胃の痛みや胃もたれ、ゲップ、胸やけといった不快な症状が続いているにもかかわらず、胃カメラ検査では食道・胃・十二指腸などに明らかな異常が見つからない場合、「機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)」が疑われます。この症状は、上部消化管の動き(蠕動運動)に不調が起こっていたり、胃の上部がうまく膨らまず、食べ物を一時的にためておく機能が働かなくなることが原因と考えられています。特徴的な症状の一つに、食事を始めてすぐに満腹感を感じてしまう早期飽満感(そうきほうまんかん)があります。

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