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産後の胃痛、食後の胃痛

産後の胃痛の原因

産後の胃痛の原因出産後は、ホルモンバランスや生活リズムなど、お母さんの身体や心、日常生活などが激変します。それらの変化は胃痛を招く原因ともなります。

「ライフスタイルの変化」
による胃痛

胃痛は感染症や食べ過ぎ飲み過ぎ、刺激物を摂り過ぎるといった様々な要因で起こりますが、出産後のお母さんが胃痛に悩まされる場合、一番多いのは「ストレス」によるものです。特に、初産の後などは、何度も繰り返す授乳やオムツ替えなど、それまでの暮らしとリズムが大きく変わってしまい、睡眠不足に加え、初めての子育てからくる精神的なプレッシャーなどから強いストレスを受けてしまいます。
それに加えて、出産後は女性ホルモンのうちプロゲステロンの分泌が大きく減少します。プロゲステロンの分泌が減るとセロトニンやGABAなどの神経伝達物質の分泌も低下し、不安状態に陥りやすくなることや自律神経のバランスが乱れやすくなることがあります。また、プロゲステロンによる消化管の運動抑制機能も低下し、胃腸の運動が亢進してしまうことなどが合わさって、胃粘膜の防御機能が低下し、胃酸分泌が増えるため胃粘膜に炎症が起こることなどが出産後の女性に胃痛が増える原因となります。

「産後うつ病」による胃痛

出産後、抑うつ状態になったり、うつ病になったりすることもあります。これは妊娠中から出産後にかけて女性ホルモンのバランスが大きく変化することに関わりがあります。
前述のようにプロゲステロン(黄体ホルモン)は神経伝達物質の分泌と大きく関わりがあるため、プロゲステロンが大きく減ってしまう出産後は、不安発作や抑うつといった精神的な症状があらわれやすくなります。そこに、出産後の生活の変化が重なることによって、さらに、精神的に追い詰められてうつ病を発症してしまうこともあります。うつ状態になると何でも悪い方向で考えてしまうことにより悪循環を起こしたり、身体症状として消化管の活動が影響を受けてしまったりすることで、胃痛、胃もたれ、吐き気などの上部消化管症状があらわれる原因となります。

「妊娠高血圧症候群」による胃痛

妊娠高血圧症候群は、昔は妊娠中毒と呼ばれていた、妊娠20週以後から出産後12週までに起こる血圧の上昇を原因とする様々な症状の総称です。血圧の上昇とともに、肝障害を起こし、胃痛、吐き気・嘔吐などがあらわれることがあります。

胃痛が生じる
「病気の可能性」

出産後に特有の胃痛だと思っていても、何らかの病気が発症して胃痛につながっている可能性もあります。当院は、お子様を連れてお越しいただけます。ご無理なさらずに、一度ご相談ください。

胃痛が生じる病気の一例

など

産後の胃痛の対処法

出産そのもので体力も大きく消耗します。そのため、最初の3週間程度は赤ちゃんの面倒を見ながらも、いつでもご自身が休むことのできる体制をつくっておくことも大切です。それによって体力が回復してきたら、だんだんと普通のペースに戻していくようにしましょう。それでも胃痛や吐き気、胃もたれなどの症状が続く場合には、病気の可能性もあるかもしれません。当院では、日本消化器病学会専門医の女性医師が診療を担当しております。些細なことでもお気軽にご相談ください。

食後の胃痛の原因

食後の胃痛の原因胃潰瘍の痛みは食後しばらくしてあらわれると言いますが、食後の胃痛の原因はそれだけではありません。以下にその他に考えられる原因の代表的なものを説明します。

自律神経の乱れ

胃をはじめとする消化管は、不随意筋によって構成されています。不随意筋は自分の意思では動かせず、脳からの指令を受けた自律神経によってコントロールされています。この自律神経は、ストレスなどの精神的要因の影響を受けやすい特徴があります。副交感神経が過剰に優位になると、胃酸の分泌が必要以上に促進されたり、本来分泌が不要なタイミングでも胃酸が分泌されたりすることがあります。反対に、交感神経が優位になると、血流が低下し、その結果、消化管の働きが弱まります。これらの自律神経の乱れによって、胃痛や胃もたれといった症状が引き起こされることがあります。

食生活の乱れ

脂っこい食物や、ケーキなどバターとクリームがたっぷりの菓子などを食べ過ぎることによって、大幅に消化の時間がかかってしまいます。また、刺激物の摂り過ぎは、直接胃に刺激を与えます。さらに、飲み過ぎ、食べ過ぎ、不規則な食事時間などによって、胃は通常より長時間刺激を受け続けたり、働き続けたりすることになり、胃粘膜が傷ついてしまうなどによって胃痛が起こります。

ピロリ菌感染

ピロリ菌は通常生物が棲みつくことができないような強酸性の胃に入って、自らアルカリ性のアンモニアのバリアを作って繁殖します。アンモニアやその他のピロリ菌の出す毒素によって胃は炎症を起こしやすくなり、また中和された胃粘膜は胃酸の影響を受けやすくなり、粘膜が傷つくことで胃痛があらわれます。慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因の多くはピロリ菌感染によるものと考えられています。

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血糖値スパイクと
隠れた糖尿病

空腹時血糖値は正常範囲でも、食事をした後急激に血糖値が跳ね上がり、しばらく時間が経つと急降下していく現象を血糖値スパイクといいます。これは隠れ糖尿病として血管に悪影響を与えるばかりではなく、胃の機能にも影響を与えることが分かっています。そのため血糖値スパイクがあると胃痛など胃の不快な症状があらわれることになります。

食後の胃痛の対処法

激しい胃痛の場合

急激に強い胃痛が起こった場合は、食中毒など何らかの病原体による急性胃炎の可能性があります。病原体によっては、重篤な事態に陥る可能性もありますので、速やかに医療機関を受診して下さい。

アニサキスによる食中毒

アニサキスは海洋生物に広く寄生する寄生虫で、特にサバ、イワシ、サンマなどの青魚、サケやイカなどに多く寄生しています。胃にアニサキスが入ると、数時間後に胃壁にもぐりこもうとしてアレルギー反応を起こし、激しい胃痛、吐き気や嘔吐などの症状があらわれます。胃カメラによってアニサキスを取り除くことで症状はすぐ治まります。

ノロウイルスによる食中毒

汚染された食物を食べて12時間程度の潜伏期間の後、下痢、吐き気・嘔吐、胃痛・腹痛、発熱などの症状があらわれます。お子様やご高齢の方、身体の弱っている方などでは強い症状があらわれることもあります。牡蠣をはじめとする二枚貝からの感染が多い他、感染者が調理したものを食べることなどによって感染が広がることもあります。

サルモネラ菌による食中毒

身近に常在する細菌の一種で、感染すると6~48時間の潜伏期間の後、腹痛、吐き気、下痢などの胃腸症状、発熱、頭痛などの全身症状があらわれます。鶏、豚、牛などの肉類や、汚染された卵などが感染源となります。日本の鶏卵は洗浄・消毒して出荷されていますが、生食可能な期間を過ぎたら、必ず加熱をして食べましょう。鶏肉を含め生肉の摂取、加熱不足のお肉の摂取は避けましょう。

食後の胃痛が長引く場合

食中毒の多くは急性のもので、数日で治まっていくことがほとんどです。しかし数日経っても胃痛が治まらないような場合、何らかの病気が胃痛の原因となっているかもしれません。その際は一度当院までご相談ください。