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肝臓内科

肝臓内科

肝臓内科肝臓は、食べたものをエネルギーに変えたり、体にとって不要なものを分解・解毒したりと、重要な働きをしている臓器です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもあります。これは、肝臓の中には同じ働きをする細胞がたくさんあるため、少しダメージを受けても他の細胞がその分を補ってしまい、すぐに症状として現れにくいためです。症状に気づいた時には、病気が進んでしまっているケースも少なくありません。現在、お困りの症状がなくても肝機能の数値の異常を指摘された方は放置せず、お早めに当院までご相談ください。また、肝臓内科では、以下のようなお悩みがある場合、その原因を追究し、適切な薬物療法や、生活改善の指導など内科的な治療を行います。当院では、日本肝臓学会専門医の院長が、丁寧な診療をしております。

受診に関するよくある質問




こんな症状やお悩みは
ありませんか?

  • 疲れやすい、いつも身体がだるい
  • 足のむくみが続いている
  • お腹がずっと張っている
  • 食欲がなく、体重が減ってきた
  • 爪や白目の部分が黄色くなってきた
  • 身体のあちこちがかゆくて、つい掻いてしまう

など

◯よくある肝臓の疾患

肝炎

肝炎肝炎には、急に症状があらわれる「急性肝炎」と、炎症が6ヶ月以上にわたって続く「慢性肝炎」があります。急性肝炎では、急激な肝機能の低下から黄疸や肝性脳症(意識レベルの低下)などが起こり生命に危険を及ぼす劇症肝炎などもあります。主な原因はウイルス感染ですが、その他細菌性や寄生虫などによるもの、薬物の副作用によるもの、アルコール性のものなどがあります。

B型肝炎

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)によるウイルス性の肝炎で、成人が感染した場合、ほとんどが急性肝炎となります。感染経路は、感染者との性行為、血液や体液などへの接触(医療行為や介護など)、感染者とのタオルなどの共有といった接触感染から、不法な医療行為での医療器具の共有(違法薬物の注射針や刺青、ピアッシングなど)といった行為などによります。また、感染した母親が妊娠すると母子感染を起こし、子どもは高い確率で慢性肝炎となります。

症状は、急性の場合、倦怠感、疲労感などの全身症状から、黄疸や褐色尿があらわれ、一部は劇症肝炎となります。劇症肝炎では急激な肝不全から意識障害を起こすような重篤な症状があらわれます。慢性肝炎は、継続的に肝臓に炎症が続き、肝硬変や肝がんへ移行してきます。

急性、慢性によって治療法が異なりますが、まずは感染しないためにB型肝炎ワクチンの接種が大切で、定期接種により公費負担での接種が可能です。急性の場合は、ほとんどは経過観察で自然治癒を待ちますが、劇症肝炎を起こした場合には、ウイルスの増殖を防ぐために核酸アナログ製剤などの薬物療法を行い、場合によっては血液を浄化するための血漿交換などの治療を行うこともあります。必要に応じて、連携している医療機関へご紹介いたします。

C型肝炎

C型肝炎ウイルス(HCV)によるウイルス性の肝炎で、発症してもおよそ3割程度の方は急性肝炎で推移し、6ヶ月程度でウイルスは体外へ排出されて治癒します。しかし、残りの7割程度は持続感染し慢性肝炎となります。
感染経路としては、違法な医療行為(違法薬物の注射や刺青、ピアッシングなど)による器具の使い回し、カミソリの共有などが多いことが分かっています。また、母子感染や性行為による可能性はゼロではありませんが、低確率です。

C型肝炎は、急性期には自覚症状がほとんど無いまま進行し、劇症肝炎を起こす例もあまりありません。そのまま持続感染となって慢性化しても、倦怠感など軽い症状が多く、肝硬変や肝がんを起こしてはじめて感染が分かるケースもあります。

C型肝炎は、現在のところワクチンは開発されておらず、予防としては、上記のような不衛生な行為を避け、またピアッシングなどは医療機関で行うように気をつけることが大切です。治療として、かつてはインターフェロンという注射薬が使用されてきましたが、副作用が強く効果が不十分なため、現在はインターフェロンフリーの飲み薬での治療が主流となってきて、内服薬だけでウイルスを体外に排出することが可能となりました。

  • A型肝炎

A型肝炎ウイルス(HAV)によって引き起こされ、主に感染していない(ワクチン未接種)人が、感染者の糞便で汚染された食物や水を摂取することで感染します。B型肝炎やC型肝炎と異なり、慢性肝疾患を引き起こすことはないといわれています。日本での感染者数は減少傾向にありますが、発展途上国へ渡航する場合はワクチン接種が推奨されます。国産ワクチンは安全で効果が高いワクチンの一つであり、3回の接種でほぼ100%の抗体獲得ができ、その後5年は効果が持続すると言われています。

脂肪肝

脂肪肝肝臓の働きの1つとして、細胞にエネルギーとして利用されなかった脂肪を血液から回収し、蓄積することがあります。しかし、この蓄積する働きが過剰となって、脂肪が肝臓に必要以上に貯められてしまうと、正常な肝細胞に対して脂肪が増えすぎてしまいます。このような状態で、肝臓に蓄積された中性脂肪の量が肝細胞の3割以上になると、脂肪肝として肝細胞の正常な働きを障害するようになります。
脂肪肝になっても自覚症状に乏しいため、定期健診などの血液検査で肝機能の数値の低下を指摘される程度なのですが、脂肪肝になっているということは、内臓脂肪がつきやすい体質になり、内臓脂肪型肥満と、高血圧、糖尿病、脂質異常症のうちどれか2つを合併したメタボリックシンドロームに陥りやすいことや、脂肪肝によって肝臓の細胞が連続的に障害されることで将来的に肝硬変に移行しやすいことなど、様々な弊害が起こります。
脂肪肝の原因としては、長期間にわたる過剰なアルコール摂取によるものが多いのですが、近年では飲酒しない人に起こる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」*も増加しています。アルコールではなく、生活習慣(食べすぎ、運動不足、糖分や脂質の過剰摂取、肥満、糖尿病、脂質異常症など)の乱れによるものとされています。

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アルコール性脂肪肝

アルコール性脂肪肝は、長期間にわたる飲酒の習慣によって、肝臓に脂肪がたまってしまう状態です。放っておくと、肝臓に炎症が起きる「アルコール性肝炎」へと進行することがあります。アルコール性肝炎になると、食欲不振、だるさ、発熱、右上腹部の痛み、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)といった症状があらわれることがあります。肝臓は通常痛みを感じにくい臓器ですが、炎症が強くなると肝臓が腫れて痛みを感じるようになります。尿の色が濃い紅茶のようになることも特徴の一つです。さらに重症化すると、腹水やむくみ、意識障害などを引き起こすこともあり、注意が必要です。

非アルコール性脂肪肝

脂肪肝の中でも、脂肪の蓄積に加えて肝臓に炎症や傷害が起こっている状態を「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」「非アルコール性脂肪性疾患(NAFLD)」*と言います。
非アルコール性という名称ですが、全く飲酒習慣の無い人ばかりではなく、軽度の飲酒(1日にビール500ml、または日本酒1合程度)をする人も含まれています。主な原因は、肥満、内臓脂肪型肥満、脂質異常症など生活習慣に関わりがあると考えられています。治療法としては、食事内容の見直し、運動療法などの生活習慣改善を試み、その上でビタミンE剤などを中心に薬物療法を行うことになります。

NASHやNAFLDは、肝細胞の繊維化を伴うことから、気づかないうちに進行して、肝硬変、肝がんなどに移行してしまうリスクが高いため、飲酒習慣が無いにもかかわらず肝臓の数値の異常を指摘された場合には、一度肝臓の専門医に相談することが大切です。当院では、日本肝臓学会専門医の院長が、丁寧な診療をしております。そのまま放置せずにご相談ください。

*NAFLDのFがFatty(太った)の略であったことに配慮し、より適切で偏見のない表現とするため、2024年8月からは、「代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)」「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と呼び換えることになりました。

薬剤性肝障害

医療機関から処方された内服薬、薬局などで購入した薬剤、サプリメントなどによって肝機能が障害されてしまうことがあります。原因は薬剤そのものの副作用によるものと、患者様の体質によるものの2つに大別されています。症状は軽い場合が多く、無症状で推移する方もおり、血液検査の結果などから判明することが多くなっています。一般的な初期症状としては、全身の倦怠感や軽い黄疸などですが、時には重度の黄疸、吐き気・嘔吐、褐色尿などの重度の肝障害の症状があらわれることもあります。
治療としては、原因となる薬物の服用を中止し、状態によっては肝機能回復のための薬物療法を行います。

肝硬変

慢性的な肝臓の炎症によって、だんだん肝臓の細胞は壊されていきます。壊された細胞は線維化し、肝臓の機能を果たせなくなっていきます。肝臓は大きな臓器で代替細胞も豊富にあり、肝細胞の繊維化が起こり始めてもほとんど自覚症状があらわれないことも多く、気づかないうちに進行してしまいます。そして、代替細胞の限界を超えてしまったところで、肝不全を起こします。肝臓の3大機能は、「代謝」、「解毒と不要物の分解」、「胆汁生産」ですが、肝不全はこれらの機能が果たせなくなることで、栄養が身体に行きわたらず、毒性物質の分解、排出ができず体内に毒素が溜まり、また胆汁が作れないことで消化もできなくなっていきます。
それによって、全身倦怠感、黄疸、肝性脳症による意識低下といった様々な症状があらわれ、最悪の場合生命に危険が及ぶことになります。
また、繊維化した肝細胞はがん化しやすいことも分かっており、肝がん発症のリスクが大きく高まります。健康診断などで、少しでも肝臓の数値を指摘された場合、放置せずに、できるだけ早いうちにご相談ください。

肝がん

肝臓にできるがんを肝がんと言いますが、大きく肝臓の細胞から発生する原発性肝がんと、他の組織からがん細胞が転移してきて起こる転移性肝がんに分けて考えます。そのうち原発性肝がんが最も多く、肝細胞がんが9割を占め、その他に肝内胆管がんなどがあります。
原発性肝がんが発症する原因は、ほとんどの場合、長年適切な治療を行わず放置された慢性肝炎や脂肪肝などで、50歳前後から増え始め80歳あたりでピークを迎えます。
その他の肝臓の病気と同様、初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると、全身倦怠感、腹痛、腹部のしこり、圧迫感などの症状があらわれます。さらに進行すると、肝機能が果たせなくなる肝不全を起こすことになり重篤な症状があらわれてきます。
治療は手術やカテーテル療法などの外科的なもの、放射線療法や化学療法など状態に応じて様々な方法があります。こうした専門的な治療が必要な場合、当院と連携する高度医療施設を紹介して、適切な治療がスムーズに受けられるようにしております。