女性の場合、
便潜血陽性は生理の影響?
便潜血検査は、少量の血液成分にも反応します。そのため、基本的に生理中の採便は避けた方が良いのですが、仕方なく採取してしまった場合にも陽性反応が出たら、生理の影響と断定せずに他の原因が無いか確認することが大切です。
女性と大腸がんの関係
2023年の国立がん研究センターのがん統計によると、女性がかかるがんで一番多いのは乳がんに次いで大腸がんは第2位、死亡数では第1位となっている女性に多いがんです。大腸がんの発症は、50歳を超えると急激に増加しますが、実際は30歳代ぐらいから少しずつ増え始めています。
大腸がんは、早期に発見すれば内視鏡だけの簡単な治療で完治が望めます。一方、初期のうちは自覚症状があらわれず、ある程度進行するまで気づきにくいがんの1つです。
大腸がんの多くは大腸ポリープから時間をかけてがん化していきます。40歳ぐらいから大腸ポリープの発症が増えてくるため、大腸カメラ検査を受けて、大腸がんや前がん病変の大腸ポリープを早期に発見し、治療につなげていくことが大切です。
便潜血検査とは
血便には目に見えないほどの少量の血が混じるものがありますが、それを潜血便と言います。潜血便があるということは、食道から肛門までの消化管のどこかに出血があることを示しています。多くは大腸から肛門のどこかからの出血で、大腸がんや前がん病変である大腸ポリープが存在している可能性があります。そのため、大腸がんのスクリーニングとして多くの健康診断で実施されています。
便潜血検査の方法
検便は「2回」
なんらかの病変があったとしても、便潜血は必ずしも毎日あるものとは限りません。そのため、「2回法」といって、2度にわたって便をとることが多くなっています。1週間以上経過すると、血液の残存率が下がってしまうため、基本的にはご自身で1週間以内に2日分便を採取していただきます。
便を採取する時の注意点
- 正確なデータを確認できなくなるため、便器にトイレットペーパーを折りたたんで敷くなどして、便が水に触れないように工夫してください
- 温度の高い場所で保管すると、ヘモグロビンの量が変動してしまうため、冷蔵庫や直射日光の当たらない場所に保管してください
- 便潜血検査はごくわずかな血液でも検知できるため、生理中の検査は避け、生理が終わってから2~3日後ぐらいに採取してください
便潜血検査の結果
便潜血検査が「陽性」の場合
便潜血検査は、口から肛門までのどこかで出血があるかどうかを確認する検査です。陽性の場合、痔や消化管のどこかに潰瘍やがんなど器質的な病気があることがわかります。しかし、便潜血検査は、どこから出血しているのかまでは判定できません。
便潜血検査が陽性の場合は、「痔のせいだから」、「生理だから」、「不正出血があったから」と決めつけずに、可能性は少なくても、大腸がんなど重篤な病気が隠れているかもしれないため、一度も検査を受けたことがない方は、大腸カメラ検査で腸の状態を確認することが重要です。
便潜血検査が「陰性」の場合
大腸がんは早期のうちは自覚症状が乏しく、多少進行していても、常時出血しているとは限りません。大腸がんの好発部位は直腸とS状結腸ですが、それより奥にがんができることがあります。その場合、便はまだ軟らかくほとんど出血することがありません。そのため、便潜血が「陰性」でも、前がん病変である大腸ポリープが増えてくる40歳を過ぎたら、定期的に大腸カメラ検査を受けることをおすすめします。