女性医師による内視鏡検査
内視鏡検査のなかでも大腸カメラ検査は、肛門からスコープを入れるということで、「恥ずかしいからいやだ」という方も多く見受けられます。特に、女性の方は抵抗感が強い傾向があります。そのため、当院での内視鏡検査は女性の消化器内視鏡専門医が担当し、スタッフもすべて女性が担当します。内視鏡検査は、「恥ずかしい」、「怖い」と緊張して余計な力が入ってしまうと、かえってスコープを動かすのが難しくなり辛さが増してしまいます。当院では、少しでも患者様の苦痛を減らして検査を受けていただけるよう、人員だけではなく、検査の環境まで様々な工夫をこらしておりますので、安心してご相談ください。
恥ずかしさに対する工夫
大腸カメラ検査は、肛門からカメラを挿入する検査ですから、誰でも抵抗を感じるかと思います。特に、女性の方は女性医師であっても恥ずかしいと思う方も少なくありません。そのために、恥ずかしさに対して様々な工夫をしています。
ムダ毛が気になる方
検査でお尻を診られるので、ムダ毛を処理してからの方が良いかと悩む方もいるようです。しかし、ムダ毛があってもスコープの挿入には差し支えなく、検査の時は検査着の下にハーフパンツを履いていただくため、必要以上にお尻の部分が医師やスタッフに見えてしまうこともありません。ムダ毛については、特に処理をしなくても問題ございませんので、ご安心ください。
大腸カメラの当日に
生理がきてしまった方
大腸カメラ検査の予約日に生理が来てしまったということもあるかと思いますが、たとえ生理中であっても、検査を受けていただけます。紙製のハーフパンツを着けていただきますので、生理用のナプキンやタンポンなどを使用したまま検査が可能です。また、診察台には使い捨てシーツも敷いてありますので、たとえ経血が漏れたとしても特に問題はありません。ただし、体調が悪い場合は、検査を先延ばしにすることも可能ですので、当院までご連絡ください。
大腸カメラ検査中に
便意を催すことが心配な方
検査前に下剤や腸管洗浄剤を服用してお腹の中をきれいに出しますが、多少の液体や便が残ってしまうことはあります。しかし、その少し残ったものはスコープを通して吸引しながら検査を行いますので、便を漏らしてしまうケースは稀です。ただ、しっかりと腸管洗浄剤を飲み切れていない場合、稀に便漏れが起こることもあります。しかし、診察台には使い捨ての防水シートを敷いてありますので、もしそのような事態となっても問題ございませんので、ご安心ください。
女性にこそ
大腸カメラ検査が必要な理由
女性のがんの死亡率で
一番多いのは大腸がん
2023年の統計では、女性の各種がんで、死亡数が一番多いのが「大腸がん」でした。特にAYA世代と呼ばれる15歳から39歳頃までの思春期から若年成人世代で多くみられるがんは、乳がん、子宮頸がん、大腸がんとなっており、若い世代の方は早く進行してしまうため、早期発見が大切です。
一般に大腸がんは、40歳を過ぎた頃からの定期健診が大切とされていますが、遺伝的要因もあるため、血縁の家族に大腸ポリープや大腸がんの罹患歴がある方は、40歳未満でも一度検査を受けることをおすすめします。
大腸がんはほとんどの場合、大腸ポリープから発生し、時間をかけてがん化します。定期的な検査で大腸ポリープを見つけて、早めに切除してしまえば、将来のがん化の予防となり安心です。検査につきましては、いつでも当院までご相談ください。
女性特有のがんと
大腸がんとの関係
子宮体がんと大腸がんとの関係
大腸がんの罹患者の3割近くの方にがんの家族歴があることが報告されています。大腸がんは遺伝的要素が強いがんの1つと考えられています。その中でも特に注意が必要なのは、「リンチ症候群」と呼ばれる遺伝関係でがんが多発する病気です。リンチ症候群は2人に1人の割合で、親から子に引き継がれ、大腸がんの発症を繰り返したり、子宮体がんを発症したり、また様々ながんを多発したりします。比較的稀な病気ではありますが、リンチ症候群の患者様は比較的がんの進行が早いことから、家族歴のある方は、20代からの定期がん検診を受けておくようにしましょう。子宮体がんを発症しやすいため、女性の方は大腸がん検診と同時に、婦人科での検診もおすすめします。
以下のような条件に1つでも当てはまる方は特に注意が必要です。
- 家族や親戚に「リンチ症候群」と診断されている方がいる
- 家族や親戚に「50歳未満」で大腸がんになった方がいる
- 家族や親戚にがんになった方が多い(2名以上)
大腸がん、子宮体がん、卵巣がん、乳がん、胃がん、十二指腸がん、膵臓がん、尿管がん、膀胱がん など
乳がんと大腸がんの関係
乳がんと大腸がんは、どちらも女性の罹患数が高いがんで、2023年の統計では乳がんは1位、大腸がんは2位という結果になっています。また、乳がんの既往症があって大腸がんを発症する方は一般の方の大腸がん発症確率より4倍弱高いことも分かっています。乳がんと大腸がんの間には、強い関連性があり、その原因は遺伝的要因や生活習慣などにあることが近年の研究でわかってきています。そのため、乳がんの既往がある方は、定期的に大腸カメラ検査を行って、前がん病変である大腸ポリープのうちから手当をし、大腸がんの予防に努めることが大切です。
女性に多い痔と
大腸がんとの関係
女性は統計的にみても、男性より便秘になる確率が高くなっています。便秘になると肛門に負担がかかり痔を発症しやすくなります。また女性は出産の際のいきみや会陰部への負担でさらに痔になりやすい傾向があります。痔は辛いものですが、恥ずかしさが先に立って、診療を怠りがちな病気の1つです。何らかのきっかけで大腸カメラ検査を受ける場合、一緒に痔の診察をすることも可能です。お悩みの方はぜひご相談ください。