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お尻のかゆみでお困りの方

お尻のかゆみ

お尻のかゆみ(肛門まわりのかゆみ)は、皮膚のかぶれや病気によるものなど様々な原因があります。「肛門に違和感=痔?」と考える方も多くいらっしゃいますが、かゆみを引き起こす原因は「痔」ではなく、多くの場合「肛門掻痒症(こうもんそうようしょう)」であることがほとんどです。

肛門掻痒症とは?

肛門掻痒症とは、皮膚そのものの病気ではなく、掻いたり、こすったり、洗いすぎたりすることで湿疹ができて、かゆみが悪化してしまう状態です。

肛門掻痒症の症状

①初期

  • 肛門まわりに違和感(ムズムズ)がある
  • 肛門まわりにかゆみが出てくる(特に排便後やお風呂上りに強くなる)
  • 肛門まわりの皮膚が赤くなる

➁進行期

  • かゆみが強くなり、眠れないほどになる
  • 掻くことで湿疹(ブツブツ)ができて、かゆみが悪化する
  • 掻きこわすとヒリヒリした痛みが出て、水がしみることもある

※この痛みによって「切れ痔」だと勘違いする場合があります

➂慢性期

  • 肛門まわりの皮膚が白っぽくなる(色が抜ける)
  • 肛門まわりの皮膚が炎症で腫れぼったくなる

※この腫れによって「いぼ痔」だと勘違いする場合があります

肛門掻痒症の原因

便秘や下痢などで肛門に負担がかかると、皮膚が刺激されてかゆみが起こりやすくなります。また、おしりをゴシゴシ洗ったり、トイレットペーパーやおしりふきを使いすぎたりすると、皮膚を守る油の膜(皮脂膜)が取れてしまいます。その結果、皮膚のバリア機能が弱まり、かゆみを感じやすい敏感な状態になってしまいます。

便秘について

肛門掻痒症の治療

排便コントロール

かゆみの原因の多くは、「便通の乱れ」が影響しています。便秘の場合は、固い便が肛門を通ることで、肛門まわりの皮膚に傷ができやすくなったり、下痢の場合は水分の多い便が皮膚に長時間触れることで、肛門まわりの皮膚がふやけたり荒れたりするため、この刺激でかゆみを引き起こします。加えて、肛門まわりの皮膚はとても敏感なため、便秘や下痢で刺激を繰り返すほど、かゆみを強く感じやすくなってしまいます。そのため、かゆみを根本的に改善するためには、便通を整えることが重要です。

塗り薬の使用

湿疹が強い場合はステロイド外用薬を使うことがあります。ポイントは少しずつ塗り、長くダラダラ塗らないことと、徐々に薬の強さを弱めながらやめていくことです。(漸減療法)通常は2週間程度の使用でかゆみが落ち着き、皮膚症状も改善します。3週間以上塗っても改善しない場合や、何度も繰り返す場合は注意が必要です。
※真菌(カビ)による感染がある場合は、ステロイドを使うと菌が増えて悪化することがあるため、ステロイドの軟膏を使用する際は、医師の指示を仰いで使うようにしてください。
湿疹が軽い場合は、ステロイドを使わなくても、白色ワセリンやアズノール軟膏などで症状が落ち着くことがあります。

 

肛門掻痒症以外の原因


  • 接触性皮膚炎(かぶれ)
  • 皮膚真菌感染症(カンジダなど)
  • アトピー性皮膚炎
  • ぎょう虫症
  • 乾癬
  • 皮脂欠乏性湿疹
  • 尖圭コンジローマ
  • パジェット病
  • ボーエン病
  • 疥癬
  • 硬化性萎縮性苔癬

※痔の場合、外に出た痔が下着に擦れたり、分泌液でおしりがベタついてかぶれたりすることでかゆみが起こることがあります。

お尻のかゆみが続くときの
対処法

便をきれいに拭き取る

排便後のふき取りが不十分だったり、下痢が続いていたりすると、肛門まわりの皮膚が便に長く触れることで炎症が起きやすくなります。さらに、汚れがある状態で小さな傷があると、細菌やカビが入り込み、膿んでしまうこともあります。特に溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などは、かゆみの原因となることが多い菌です。また、体の免疫機能がうまく働かない場合も、かゆみが出やすくなります。

拭きすぎない、洗いすぎない

排便後にトイレットペーパーで強く拭いたり、トイレシャワーで洗いすぎたりすると、皮膚に小さな傷ができてバリア機能が失われ、かゆみが生じます。入浴時にブラシやナイロンタオルで擦ることもかゆみの要因となります。

石けんや洗剤、下着の素材を変える

アレルギー反応によってかゆみが起こることもあります。トイレットペーパーの染料や石けん、下着に使われる化学繊維、洗濯用の洗剤や柔軟剤に含まれる成分によって、かゆみが出ることがあります。この場合は、使っているものを変えることで症状が改善することがあります。

肛門科の受診

お尻のトラブルは、ご自身で確認しづらく、人に見られるのも抵抗があるかと思います。そのため、市販薬で対処した結果、かえって症状が悪化してしまうことも少なくありません。また、「ちょっとかゆいくらい」と思っていても、病気が隠れている場合があります。症状が続くときや、悪化していると感じるときは、お気軽にご相談ください。

当院では、女性の院長が肛門科の診療を担当しており、かゆみの原因をしっかり確認したうえで、適切な治療や生活上のアドバイスをしています。お尻(肛門)のかゆみは便通の異常が影響していることも多いため、必要に応じて排便のコントロールについてもサポートいたします。

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